2018年4月~7月ANAマイルの世界一周特典航空券で地球を1周してきました。
旅も終わりに差し掛かった6月末、2泊3日で立ち寄ったクロアチアのフルヴァツカ・コスタイニツァという街の話し。
- ザグレブから2時間弱で行ける栗の街「フルヴァツカ・コスタイニツァ」
- ザグレブからの行き方とSIM
- ホテルセントラル周辺
- ラベンダー畑を目指す
- マルコとの出会い
- 親切なマルコに連れて行ってもらったモニュメント
- 山の上のレストラン
- マルコの家を訪ねる
- マルコの仕事場を見学
- マルコの生き方
- 徒歩で国境超えボスニア・ヘルツェゴビナへ
- ザグレブから日帰りでも行けるフルヴァツカ・コスタイニツァはおすすめ
ザグレブから2時間弱で行ける栗の街「フルヴァツカ・コスタイニツァ」
そもそもなぜこの街へ行こうと思ったか。
地球の歩き方に1ページだけ載っていた紹介がきっかけでした。
ザグレブから日帰りでも行ける郊外の街で、ラベンダー畑があると。
またこの街はお隣ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境の街であり、国境に沿って流れるウナ川の写真も美しく惹かれました。
ウナ川を隔てて北側がクロアチア、南側がボスニア・ヘルツェゴビナ。
ボスニア・ヘルツェゴビナ側にも「コスタイニツァ」という地名があります。
コスタイニツァとは栗の名産地という意味合いらしく、クロアチア側は「フルヴァツカ(=クロアチア)」が頭について「フルヴァツカ・コスタイニツァ」という地名になっています。
毎年10月には栗の収穫祭があり、この数日間はザグレブからたくさん人が来るそう。
期間中はザグレブ⇔フルヴァツカ・コスタイニツァの電車が無料になるそうです。
2019年は10月11日~13日に開催。
ザグレブからの行き方とSIM
2018.6.27
ザグレブ→フルヴァツカ・コスタイニツァのバスチケット50kn(865円)。
所要時間は2時間弱。
電車もありますが、今回はバスで行きました。
ヨーロッパ周遊SIMを差しっぱなしでポルトガル→スペイン→スイス(乗り継ぎ)→クロアチアと旅して来たのですが、クロアチア国内のはずのフルヴァツカ・コスタイニツァに着く少し前からSIMがボスニア・ヘルツェゴビナと認識し始めました。
このSIM、ボスニア・ヘルツェゴビナは対象外なので、これから3日間ネット環境なしで生きなければならなくなりました..!
(ホテルはWiFiがあるので調べ物はホテル内で完了必須)
ホテルセントラル周辺
ホテルセントラルに到着。
私は宿の予約をたいていBooking.comかAirbnbでしますが、フルヴァツカ・コスタイニツァで出てきたほとんど唯一の宿でした。
歴史あるホテルのようで、内装も素敵です。
部屋も快適そう。
小雨がシトシト降り続ける天気も手伝ってか、寂しい風景に感じます。
ちょっと散歩へ。
人通りもなく寂しい雰囲気。
こういう物悲しい風景も好みです。
ウナ川に沿って道路が続いています。
この辺りなんて、天気の良い日には水がキラキラ光って緑も鮮やかで美しい場所なんだろうなぁ。
この橋を渡るとボスニア・ヘルツェゴビナへ行くことが出来ます。
今日はもう夕方なので、明日以降に行ってみたいと思います。
クロアチア側をもう少し探検。
こういう朽ち果てた建物があちこちにあります。
弾丸の跡がそのまま残る建物。
相変わらず人通りがないです。
植物に侵食された建物。
経年劣化で錆び付いたものや、廃墟などの朽ち果てた建物は好きだったりするのですが、この街は記憶に新しい戦争の跡が生々しく残っている感じでとても苦しくなりました。
スーパーで夜ご飯などを購入。
ラベンダー畑を目指す
2019.6.28
この街へ来た一番の目的、ラベンダー畑を探しに行きます。
ぶっちゃけ場所が良く分からないので、歩き方に載っていた写真をホテルスタッフに見せて、だいたいの場所を教えてもらいました。
しかし「今は見れないと思う」とも。
以前はその場所にあったけど今はない、と。
なんてこった。
でもまあいいや、この街を色々歩いてみたいので、とりあえずラベンダー畑の場所を目指して歩いてみようと思います。
今日も曇りのウナ川。
ボスニア・ヘルツェゴビナへの橋も通り過ぎどんどん歩きます。
途中パトカーに乗った警官に呼び止められるも、歩き方を見せて「このラベンダー畑に行きたい」と説明したら「頑張って」とすんなり解放してくれました。
ここを左折。
この辺は素敵な家や景色がたくさんあります。
果実の木がある家。
どの家も庭が広いです。
実用道具ですがなんか素敵です。
ニワトリ放し飼い。
一面黄色い花の場所。
と素敵な風景にたくさん出会いながら歩いていたのですが、目的地まではまだまだ距離があります。
道も山道のようになりつつあるし、どうしようかな~と思っていた時、1台の車が止まりました。
マルコとの出会い
乗っているのは若い男性1人。
この時点でめちゃくちゃ警戒。
男「どこに行くの?」
私「ラベンダー畑」
男「ラベンダー畑?それはどこ?」
私「(歩き方見せながら)ここ」
男「あー確かにこの場所はこの先だけどすごく遠いよ。歩いて行くのは大変だから乗せていってあげるよ。」
私「いやいいです(警戒心MAX)」
男「もう1回見せて。そもそもこのラベンダー畑は今はもうないよ。」
私「え、そうなの?」
(男性が車から降りてくる)
(私ますます警戒)
男「ちょっと待ってて、聞いてあげるから(どこかへ電話)」
男「やっぱりその場所に今はラベンダー畑はないって。ちょっと待って、もう1箇所聞いてみるから(どこかへ電話)」
男「出ないな、メッセージ打っておこう(メッセージできいてくれてる様子)」
返信を待ちながら、彼は色々話してくれました。
目の前の斜面に広がる一面の畑は彼が最近買い取ったもの。
ここで色々な作物を作ることに挑戦している。
今朝の仕事を終えて家に帰るところ。
妻と両親と友達で今からバーベキューをする予定。
色々話しているうちに警戒心が緩み、また「妻」というキーワードにかなり安心し始める私。
男「返信来ないな、行って確かめてみよう!乗って乗って」
私「(少し迷うも)ok」
いや、これ絶対ダメですよね。
彼が悪い人だった場合、完全にアウト。
男「僕はマルコ。君は?」
私「ミカ」
マ「どこから来たの?」
私「日本」
車で走るにつれ、道幅も狭く完全に山道になってきました。
この道をこの距離歩くのはやっぱり無理だったわ、と思うと同時に、今ここでマルコが豹変したら私終わりだわ..という恐怖。
そのうち完全に周りが茂みの場所にたどり着きました。
周辺には崩れかかった廃屋が1、2軒。
(ああ..やばい場所に来てしまった、襲われたら死ぬ気で戦うしかない)
密かに武器と決めた折りたたみ傘を握りしめる私。
マ「ここに前はラベンダー畑があったんだけど、今はやめて違う畑になっちゃってるなやっぱり」
私「へ?」
マ「あの家は前は人が住んでたけど戦争で避難したきり帰ってこないんだよ」
私「なるほど」
その後もう1箇所まわってくれたのですが、やはりラベンダー畑はなくなっていました。
親切なマルコに連れて行ってもらったモニュメント
ラベンダー畑が見られなかったので、代わりに丘の上にあるモニュメントに連れて行ってあげると言うマルコ。
ここもかなり坂を上るので車じゃないと難しい場所にありました。
あるカメラマンの生まれ年から続く階段。
1990年が最後。
カメラのレンズを型どったモニュメント。
弾丸を受けレンズにヒビが入っている様が表現されています。
この後カフェで少し話して、一旦お別れ。
マルコは予定通り家族とのバーベキューへ。
バーベキューに誘ってくれたのですが、ずっと警戒していた緊張感と車酔いで頭が痛くなっていた私は、一旦ホテルに戻ることにしました。
もし元気になったら後でうちに遊びに来なよ!と道順を教えてくれたマルコ。
あんなに警戒して襲われたら戦う覚悟までして疑ってごめん。。
山の上のレストラン
ホテルに戻り少し眠るとかなり元気になりました。
お腹も空いたし、山の上にあるレストランへ行ってみることにしました。
子供たちが遊ぶコートを通り過ぎ
道なりにどんどん進みます。
林道のような道。
普通は車で来るのかな?
着きました!
ですが、オープンしてるのかしてないのか不明。
お客さんもいなくなんとなく入る気にならなかったので、引き返すことにしました。
レストランのまわりは美しい林。
フルヴァツカ・コスタイニツァの街を見渡せる素晴らしい景色。
街まで帰ってきました。
ん?
んん!
ネコとバッチリ目が合いました。
こういう何気ない景色が美しい街です。
古い教会。
マルコの家を訪ねる
教えてもらった道を歩いて、マルコの家を訪ねて見たいと思います。
なんか森に入って行くような..
これまた人がいない道。
少し怖いけど自然が美しいです。
墓地のような場所を抜け、
到着。
羊を放牧しています。
「来たよ~」と言うと「よく来たね!」と喜んでくれました。
マルコの仕事場を見学
それからマルコは家の周りを色々案内してくれました。
干し草を保管している倉庫。
手作りの肥料。
ビニールハウスに水を引く仕掛け①
ビニールハウスに水を引く仕掛け②
飼い犬の散歩がてら色々まわったので、犬も大はしゃぎです。
この丘からの景色も素晴らしいです。
晴れていればボスニア・ヘルツェゴビナまで見渡せるのでしょうか。
ここ一帯もマルコの土地らしく、ゆくゆくはここに木の机と椅子を置いてお客さんを呼びたい、と言っていました。
まだ放牧中の羊たち。
果実も育てているそうです。
養蜂も。
と、新しい蜂の巣を発見!
「これを剥がして箱に入れるんだよ、今度やろう。」とマルコは近寄って行きますが、私は全然無理で遠くから見るだけ。
マルコの友達もやってきたので、ちょっと飲もうということになりました。
家とは別の半屋外のようなこのスペース。
今日のバーベキューもここで焼いたそう。
何種類かお酒を用意してくれて乾杯!
マルコの生き方
そのうちマルコの奥さんが出てきて、「バーベキューの残りがあるから良かったら食べていく?」と言ってくれました。
昼から空腹だった私。
直火で焼いた肉がめちゃくちゃ美味しかったです。
こちらは自家製のリキュール。
左がくるみ、右がチェリー。
どちらも濃くて甘くて美味しかったです。
クルミのリキュール。
硬い皮に覆われる前の緑の柔らかいクルミを使い、コーヒー豆、オレンジの皮、レモンの皮、シナモンスティック、砂糖、リキュールを加える。
瓶詰めにして蓋をきっちり閉めて太陽の当たるバルコニーで40日間。
チェリーのリキュール。
砂糖、リキュール(ラキア)、レモンのかわ、バニラの砂糖を加える。
同じく太陽の当たるバルコニーで40日間だが、ビンの蓋はきっちり閉まるものではなくお皿を被せただけのもの。
庭にクルミの木もチェリーの木もあって、本当に何から何まで自分たちで作っているのがすごいです。
奥さんは実は妊婦さん。
「2人はどうやって出会ったの?」と聞いてみたら、恥ずかしそうに話してくれました。
高校生の時ザグレブの学生寮で知り合い、10年付き合って昨年結婚したそう。
マルコはザグレブで仕事していたものの家賃がサラリーより高くてやっていけず、ドイツなどで同じ仕事をすればいいサラリーを得られるがそうしたくなかったので、この街に移り住んで新しい仕事を始めたそう。
動物、野菜、蜂蜜、眺めの良い丘に木でできた机や椅子を設置したり、色々計画を持っていて、野菜の温室は2018年4月から、など色々始めたばかり。
私もこの旅を終えたら新しい仕事を探さなきゃいけないのですが、2人の話を聞いていたら、なんでもやっていいんだ、なんでもできるのでは?という明るい気持ちになりました。
色々話しているうちに暗くなってしまったので、ホテルまで車で送ってくれることに。
何から何まで本当にありがとう。。
絶対にまたこの街を訪ねてマルコと奥さんに会いに来たいです。
徒歩で国境超えボスニア・ヘルツェゴビナへ
2019.6.29
フルヴァツカ・コスタイニツァを去る日です。
午前中時間があるので、徒歩で国境越えし、ボスニア・ヘルツェゴビナへ行ってみることにしました。
昨日も一昨日も見るだけで渡らなかったこの橋。
島国ニッポンに生まれ育った私には、歩いて国境を超える、という行為がとても特別で興奮するものです。
いざ渡ります。
美しいズリンスキ城。
川を渡りきった所に現れた、廃墟のような場所。
植物に覆い尽くされる建物。
突然地面に穴が空いていたりして結構危ないですが、写真を撮りまくってしまいました。。
美しいとすら感じるこの景色。
時間もあまりないのでイミグレに向かいます。
車は列が出来ています。
イミグレの脇にはサッカーコート。
「日帰りで観光したい」と言うと問題なく通してくれました。
イミグレを抜けると、ガラッと街の雰囲気が変わりました。
街がなんていうかカラフル。
アルフ発見。
クロアチアから川を1つ渡っただけなのに雰囲気が全く違うのが興味深いです。
教会。
パン屋さんでパンとジュースを買いました。1€。
物価もいきなり安くなり、違う国に来たのを実感。
大型スーパーがあったので入ってみました。
文房具。
1冊0.45マルカのノートをお土産に8冊買いました。
※1KM(マルカ)=50セント€
クロアチアでよく見るティッシュですが、クロアチアより安いです。
そういえばマルコがバーベキューの時に言っていたことを思い出しました。
「バーベキューの材料を買いにボスニアに行こうと思う」と。
途中まで行ったのですが、車がたくさん並んでいたので諦めたのです。
ボスニア側の方が物価が安いのでよく買い物に行くのかもしれません。
ザグレブから日帰りでも行けるフルヴァツカ・コスタイニツァはおすすめ
ラベンダー畑を目当てに2泊3日で立ち寄った「フルヴァツカ・コスタイニツァ」。
ラベンダー畑は見つからなかったけど、それ以上に濃い体験と一生心に残る出会いがありました。
ザグレブから日帰りでも行けるこの街、クロアチア旅に組み込んでみるのもオススメです。
2019年は10月11日~13日に栗の収穫祭が開催されます。
期間中はザグレブ⇔フルヴァツカ・コスタイニツァの電車が無料になるそうです。